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moon『カンパニー』は「あてがきじゃないの?」と
思ってしまうぐらいいまの月組にぴったりで、
原作を読んだときの期待感がそのまま舞台に反映されていました。
一緒に観に行った夫も「おもしろかった!」と言っていて、
男性にも親しみやすい作品だったと思います。

カンパニー原作との比較

原作の青柳誠一が妻に逃げられたのに対し、
舞台版の青柳誠二は妻を亡くした設定で、ここが一番の相違点です。

カンパニーとの一連の関係が、
妻を亡くしたショックから抜け出す希望を与えてくれたという、
非常に宝塚らしい話になっています。

すごいと思ったのは、登場人物がほぼ原作そのままだったことです。
妻の悦子と娘の佳奈以外、主要人物は一緒です。
青柳の亡き妻は「ともみ」という名前になっていました。

通常宝塚版にはオリジナルキャラクターが出てきたりするものですが、
(そしてそのオリジナルキャラクターが浮いていたりする)
今回の『カンパニー』に関してはそういうことがありません。

ホームページの主な配役には、
赤羽奈々、黒川杏、白石静花という名前があるのですが、
プログラムではただの「バレエ団員女」になっています。

設定はちょこちょこ変わっているものの、
名前と立ち位置が見事に一致していました。

わたしの見たかったシーン

『カンパニー』原作の感想を書いた記事の中で、
「うなぎのシーンとアルタのシーンを見たい」と書きました。

うなぎのシーンはカットでしたね。
青柳、美波、高野、紗良、由衣がうなぎを食べながら今後を話し合うシーンです。
宝塚の番手に合わせたかのようなメンバーで、「すごい!」と思いました。
特上のうなぎの出前を平気で注文する紗良お嬢様が見たかったです。

アルタのシーンは夏祭りに変更になっていました。
「フラッシュモブってそういうことじゃなくない……?」
という気がしないでもありません。
あれではただの盆踊りジャックです。
でも盛り上がりがすごくて、そんなことは気になりません。

ゆりちゃん演じる大塚三朗と、まゆぽん演じる山田正芳はただの一社員でしたね。
原作の大塚はピンチのときに駆けつけて対応するカッコいい先輩でした。
一方、山田はちょっと嫌なところのある取締役です。

原作では有明F&Pがバレエの動きを取り入れた体操を開発し、
社員が踊る動画を公式サイトにUPするというエピソードがあります。

動画では社長の隣で山田がキレッキレの踊りを見せていました。
バーバリアンが出演するラジオでふたりの踊りを話題にしたことから、
社長と山田は「殿と用心棒」と名付けられてネット上で拡散されます。
せりちゃんとまゆぽんの「殿と用心棒」見たかった!

ありちゃんの面目躍如

ありちゃんにしてはちょっと役が小さいように感じた長谷山蒼太でしたが、
舞台版ではしっかり存在感がありました。

飛び抜けてバレエが上手く、なにより本人がいきいき踊っていたので、
「そうそう、こういう役をやらせてほしかった!」とひざを打ちました。

原作を読んだときには「那由多のほうがありちゃんっぽいかな?」と思いましたが、
那由多=れいこちゃん、蒼太=ありちゃんで正解だったと思います。

バーバリアンも素晴らしかったので、それについては次回書きます。

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