『カンパニー』の面白いところは、
有明F&P組、バレエダンサー組、バーバリアン組が拮抗しているところです。
立場の違う三者が一緒にひとつの公演を作り上げていくようすが、
舞台で鮮やかに描き出されていました。
バーバリアンのポスター問題
原作の那由多はバーバリアンの二軍に所属していますが、
宝塚版では単純にバーバリアンの一員になっています。
ちょっと頼りなさそうなところも含めて、那由多にぴったりだったと思います。
バーバリアンはリーダーのとしちゃんがすごくハマり役でしたね。
メンバーをまとめるのがすごく上手そうです。
としちゃんは今回の公演で退団してしまいます。
月組で積み重ねた信頼がリーダーの役柄に反映されているような気がして、
とてもよかったです。
バーバリアンのポスターすごくいいですね。
としちゃんとれいこちゃんが上段にピックアップされているのに、
下段センターのサングラスもっくんに目がいってしまいます。
あのポスターだけでも十分なインパクトを残してくれました。
バレエ団のみなさん
原作の瑞穂先生は身長が高い設定なので、
「京三紗さんかー、ちょっとイメージ違うかなー」と思っていましたが、
ほどよい存在感で舞台を引き締めてくれました。
すーちゃんの田中乃亜は見事にぴったり!
シングルマザーという設定もそれほどわざとらしくなく、
まさにすーちゃんの役という感じでした。
わかばちゃんの紗良は自身の退団公演と重なっていて、
最後まで踊りたいという気持ちがすごく伝わってきました。
気高きお嬢様という雰囲気がよく出ていたと思います。
有明F&P組
くらげちゃん演じる由衣が常にジャージだったのが面白かったです。
ウィーンにジャージで行くのは原作どおりですが、
ほかの場面でも「ずっとこの格好だったのか」と思ってしまいました。
由衣がマイマイ(さくらちゃん)と、間内(からんちゃん)に詰め寄るシーン、
隣の席からジロジロ見ているくれあちゃんとさち花ちゃんがリアルすぎました。
いかにも噂好きな女子社員という感じ。
昼休みが終わるころには全社員に知れ渡っていたことでしょう。
原作の間内は怪しげなスピリチュアル的な人ですが、宝塚版では売れないピン芸人。
そりゃ由衣も反対したくなるだろうな~という感じでした。
最後に赤ちゃんを抱いて混じっているところはホッとします。
るうくんの脇坂専務、最後のエピソードは宝塚版オリジナルです。
ちょっと余分な気もしましたが、笑いも起こっていてよかったですね。
全体的に原作の生々しいところが、宝塚版ではからっと描かれていました。
本を読んだときに思った「これを宝塚でやるの……?」という懸念は、
わりと薄れていたように思います。
見終わったときに心が温かくなるようなお芝居でした。
お知らせ
わたしの小説家デビュー作『成瀬は天下を取りにいく』が新潮社から3/17に発売されます!滋賀県大津市が舞台の作品で、西武大津店やミシガンが登場します。
読んでいただけるとうれしいです。