月組『カンパニー』の2回目を観た感想です。
宝塚っぽくない世界観だな~と思う反面、
これはこれで面白かった!とも思っています。
好みが分かれそうな作品ですね。
カンパニーの垢抜けなさ
カンパニーはところどころダサいんですよね。
フラッシュモブの一番の目的である広報が、
「傘で『新白鳥の湖』ってどうなの?」という感じ。
差し入れの日本酒やARIAKEスクスクといった小道具も、
「それ要る?」と思ってしまいました。
リアルな日本企業という感じでいいなーと思う反面、
宝塚なんだからもう少しきれいにしてほしかったなという印象です。
役者がどうこうというわけではないですよ。
「バック・ステージ・ミュージカル」というように、
華やかな舞台とは対照的なところを描いているため、
「パッとしないな」と思わせるのはある意味成功です。
「宝塚でこういう作品をやるのはどうなの?」
という根本的なところに議論が及んでしまいますが、
企画が通ってしまったものはしかたありません。
『ポーの一族』と『天(そら)は赤い河のほとり』の間に
『カンパニー』というのもなかなか面白いものです。
まゆぽんから目が離せない
そんな有明F&P社員の中でも特にサラリーマンらしいのが、
輝月ゆうまさん演じる山田です。
食堂でラーメンを食べているときの所作が素晴らしいです。
あんな人、社員食堂に絶対いますよ。
バーバリアンが紗良の踊りを「オルゴール人形みたい」と言って煽るところ、
山田は後ろで笑っているんですよね。
しかし空気が変わったことを感じて
「あれ、笑っちゃダメなのかな」って顔をするところがとてもリアルです。
一緒にいるゆりちゃんがすごく育ちが良さそうなところもいいですね。
ベストを着るか着ないかだけでこんなに違って見えるのだなということも、
よくわかりました。
原作にあった社長と山田の「殿と用心棒」エピソードがカットされて
残念に思っていたのですが、
みんなでブレイクスルーを歌うところ、せりちゃんとまゆぽんが並んでいますね!
「殿と用心棒だ!」とうれしくなりました。
バレエ団のみなさん
バレエ団のみなさんもどこか泥臭くて、
そこがとてもリアルでありながら、
「おいおいここは宝塚だぞ」と心配してしまいます。
たんちゃんみたいな人、確実に歯医者の受付にいますよ。
「次の予約はいつにしますか~?」
と言っている姿が容易に想像できます。
くれあちゃんとさち花ちゃんは女子社員とバレエ団員の掛け持ち。
同じ人なのかな?と思ってしまったのですが、違う人なんですね。
どっちにいても存在感がありすぎるので、
兼任じゃないほうがよかったような……。
そんなバレエ団の中にあっても、
しっかり宝塚の世界にいるように感じさせてくれたのが、
わかばちゃん演じる紗良お嬢様だったように思います。
紗良が白鳥の湖を知らない青柳たちに
「そんなことも知らないの?」と言うところ。
普通の人が言ったら角が立つようなセリフですが、
わかばちゃんが演じる紗良が言うと納得してしまう感じが出ていて、
とてもよかったです。
お知らせ
わたしの小説家デビュー作『成瀬は天下を取りにいく』が新潮社から3/17に発売されます!滋賀県大津市が舞台の作品で、西武大津店やミシガンが登場します。
読んでいただけるとうれしいです。