BADDYを最初に観たときには「これってどうなの……」
という戸惑いばかりが先行していましたが、
3回見たら「これってふつうのショーなのでは」
と思ってしまったから不思議なものです。
BADDYに対する慣れ
最初にBADDYを見たときに受け入れがたかったのは、
「奇をてらいすぎ」と思ったからです。
ふつうのショーにしたらいいのに、
どうしてこんなに奇抜なショーにしたのだろうと思いました。
しかし2回目に見たとき、
最初に抱いた違和感が和らぎました。
上田久美子先生でもショーの構造は破れなかったのかと思ったのですが、
別に破ろうとしていないんですね。
たまたまこういうショーを作ってみたというだけで、
特段騒ぎになるものでもないのかもしれないと思い直したのです。
ネット上では「中毒性がある」ともっぱらの評判ですが、
それだけ魅力的なショーだったということでしょう。
わたしは前回の記事にも書いたように
としちゃんクールとわかばちゃん王女の恋物語にハマってしまって、
「初回からもっとちゃんと見ておけばよかった!」と後悔しました。
どのキャストにも、通し役ならではの物語があるように感じます。
誰の立場で見るかによって、全然違う楽しみ方のできる作品ではないでしょうか。
善と悪
バッディとグッディの関係を見て、
アンパンマンとばいきんまんを思い出しました。
やなせたかし先生は著書の中で、
悪の役割を果たすばいきんまんがいないと、
アンパンマンは存在価値がなくなってしまうので、
根本的に退治をせずにこらしめるだけなのだと書いていました。
ピースフルプラネット地球にも秩序を乱す者はいて、
その人をこらしめるのがグッディの仕事でした。
そこへ圧倒的な悪であるバッディが登場。
バッディに心惹かれていくうちに自身の感情が爆発して、
怒りのロケットにつながっていきます。
結果的に善と悪は結びつき、炎の中に消えていきました。
アンパンマンに最終回があるとしたらこんな感じなのかもしれません。
デュエットダンスと罪人ふたり
炎のラストシーンの後、パトロールバードたちの解説によって、
バッディとグッディが燃え尽きたことが判明します。
「戻ってくることはありませんでした」的なことをあっさり言うので、
最初に観たとき「マジで?」と思ってしまいました。
そのシーンで魂(男)となったとしちゃんと、
魂(女)となったわかばちゃんが舞っているのがなんとも言えません。
お芝居『カンパニー』で紗良が言っていた
「天国で結ばれて、幕」と、つながっている気もします。
デュエットダンスでとしちゃんが歌うカゲソロも意味深ですよね。
「罪人ふたり」と歌っているところ、
バッディとグッディのことを指しているように思うのですが、
道ならぬ恋に落ちたクールと王女のことも指しているようにも感じます。
ただグッディと王女が罪人というのもなんか変なので、
さんざん悪事を働いたくせにグッディ側に恋をしてしまった
バッディとクールが罪人ふたりなのかな?なんてことも考えました。
(その前の「共に行け」までは両カップルに言っている)
わたしはいままでショーを見てこんなに考えることはなかったので、
そういう意味でも『BADDY』は新しい作品だったと思います。
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