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moon伊吹有喜さんの小説『カンパニー』を読みました。
『ポーの一族』の幻想的な世界の次に上演されるのが、
『カンパニー』という現実的な世界なのがとても面白いです。
好きなタイプの小説で、舞台を観るのが楽しみになりました。

小説版カンパニー

『カンパニー』は2017年5月に発行された伊吹有喜さんの小説です。
はじめて上演ラインアップを見たときには、
天皇賞馬の「カンパニー」を思い出してしまいましたが、
バレエ団を指す「カンパニー」がタイトルの由来です。

『ポーの一族』を読んだときには「意味わからん」と思ってしまったわたしですが、
『カンパニー』は安心できる展開の小説で、楽しく読み進めることができました。

ただ、世界観がいかにも現実なので、
「これを宝塚でやるのはどうなのかな?」という懸念はあります。
映画にするほど壮大なストーリーでもなく、
テレビドラマで気軽に見たいという感じです。

とはいえ、個人的にはわりと好きなタイプの小説でした。
現実よりはドラマチックですが、それほど不自然なわけではなく、
最後にはほっとできるような作品です。

荻原浩さんの作風に近いものを感じたので、
伊吹有喜さんは男性なのかな?と思ったら、女性でした。

月組にぴったり!

なにより驚いたのが、いまの月組メンバーにぴったりだったことです。
『ポーの一族』は花組にぴったりな作品でしたが、
それと同等か、それ以上にハマるんじゃないでしょうか。

花組トップスターのみりおはバンパネラのエドガーだったのに、
月組トップスターのたまきちはサラリーマンの青柳というあたり、
ふたりのキャラクターの違いを如実に表していますね。
わたしが月組を好きなのも、こういう現実感が理由なのかもしれません。

『ポーの一族』はマンガなのでどうしても絵に引きずられてしまいますが、
『カンパニー』は小説なので、月組メンバーの顔を思い浮かべることができます。
舞台上でどんな演技をしているか、脳内再生できるほどでした。

ストーリーはある程度アレンジされると思いますが、
うなぎのシーンとアルタのシーンはぜひ舞台で見たいと思いました。

各キャストへの印象

その他、小説を読んだ印象を書いておきます。
多少ネタバレになるかもしれませんので、ご承知おきください。

青柳誠二 たまきち

原作では青柳誠一なのに、なぜ二にしたのでしょうか……。
原作では妻に逃げられた設定なのですが、
宝塚では妻が亡くなったことになっています。

妻に逃げられた男よりはこちらのほうが宝塚的ですが、
妻を亡くしたことをしめっぽく書いてしまうと、
彼のキャラクターが変わってしまうような気がして心配です。

高崎美波 ちゃぴ

わりと地味な感じで出番が少ないので、
舞台版ではもっと出番を増やすんじゃないかな?と思います。
コンビニバイトのシーンもクローズアップされそうです。

高野悠 みやるり

これはたぶん、どう演じても似合うと思います。
セクシーでこだわりが強く、わがままなバレエダンサー。
我々が見たい美弥るりかそのものと言っても過言ではありません。

原作では裸のシーンがあってドキッとしてしまいました。
重要なシーンなので、アレンジを加えて描かれると思います。

瀬川由衣 くらげちゃん

これもすごく似合うと思います。
原作では高野悠と瀬川由衣の関係が軸になっている印象です。
『グランドホテル』のオットーとフラムシェンを連想しました。

水上那由多 れいこちゃん

こんなに都合よくれいこちゃんポジションにハマる役ある?というぐらい、
非常にいい比重の役だと思います。

ありちゃんがやってもよさそうな役ですが、
れいこちゃんということで「ああ本当に三番手なんだな」と感じさせてくれました。

長谷山蒼太 ありちゃん

いかにも若手男役の有望株が演じる役です。
ありちゃんにしては役が小さい?なんて思ってしまいますが、
舞台版ではどうなるかわかりません。

有明紗良 わかばちゃん

社長の娘でプリマドンナなんて、絶対似合います。
今回退団ということで心配していましたが、この役なら見せ場も十分です。

バーバリアン

バーバリアンはおそらくEXILE的なグループです。
としちゃんがリーダー役で、れいこちゃんもそのメンバー。
その他のメンバーもいかにも期待の男役という感じで、
どんなグループになっているのか非常に楽しみです。

田中乃亜 すーちゃん

もうすーちゃんの声でセリフが聞こえてくるほど、
田中乃亜=すーちゃんでした。

舞台版の人物相関図によると、シングルマザーになっています。
原作ではそんな描写はなかったような?
変なエピソードが追加されないといいのですが。

大塚三朗 ゆりちゃん

名前からしてあまりイケメンのイメージではなかったのですが、
(全国の大塚三朗さんにお詫び申し上げます)
いざというときに頼りになるタイプです。
ゆりちゃんが演じると麗しい大塚三朗になることでしょう。

間内澄人・鈴木舞 からん・さくら

くらげちゃん演じる由衣の運命を大きく変えるカップルです。
からんちゃんとさくらちゃんがどんなふうに演じるのでしょうか。
ふたりの並んでいる姿を見るのがとても楽しみです。

山田正芳 まゆぽん

ちょっと嫌なところもあるおっさんですが、
まゆぽんなら全く違和感なく演じてくれそうです。
社長と山田のあの見せ場はぜひ残してほしいと思っています。


ずいぶん力が入ってしまいました。
幕が開いたらすべてわかってしまうので、
いまのうちに書いておくことができてよかったです。

興味のある方は原作も読んでみてはいかがでしょうか。

お知らせ

わたしの小説家デビュー作『成瀬は天下を取りにいく』が新潮社から3/17に発売されます!
滋賀県大津市が舞台の作品で、西武大津店やミシガンが登場します。
読んでいただけるとうれしいです。