スカイステージで雪組『Shall we ダンス?』をみました。
原作の大筋を変えずに宝塚らしくアレンジしてあって
安心して見られる作品になっていました。
原作はさえないサラリーマン
えりたんこと壮一帆さんが
主人公のサラリーマンだったわけですが、
原作ではもっとイケてないおじさんです。
タカラジェンヌとさえないサラリーマンというのは
なかなか相容れないものがあります。
タカラジェンヌという時点でイケているものですからね。
映画ではイケてない日本人のおじさんが
突然社交ダンスを始めるという点に面白さがあります。
タカラジェンヌが社交ダンスがやっても
絵になってしまうんですよね。
同様の理由でリチャード・ギアのハリウッド版では
そのあたりの面白さが半減していました。
宝塚版ではそこをうまく中和して、
きちんと面白く作っていたように思います。
えりたんの技量なのかもしれません。
あとは結構ともみんに助けられたようにも感じます。
原作でも竹中直人さんが面白おかしく演じていた役ですが、
映画の世界観を宝塚の中へいい感じに運んでくれていました。
ちぎちゃんの女役
『Shall we ダンス?』を上演すると決まったときに
誰もが思った「草刈民代の役は誰がやるの?」という疑問。
結果として2番手男役のちぎちゃんが演じていたわけですが、
一目ぼれするのも納得の美女になっていましたね。
普段男役であるちぎちゃんが女役をやることで
「あれは誰なんだろう」と目を留めてしまうような
目新しい美女という設定が自然に生きていたと思います。
といってもこの一つ前の作品でもオスカルという女役でした。
オスカルは男役がやることになっているので
女役でありながら男役のようなものかもしれませんが
やっぱり男役とは違いますよね。
えりたんは大劇場主演を3作しかしていないのですが、
その3作中2作で女役だったちぎちゃん。
えりたんとしっかり組む2番手男役を
もう少し見たかったような気もします。
すてきな奥さんあゆっち
ダンス講師役が2番手男役で、
相手役のあゆっちは主人公の妻役をしていました。
原作でもダンス講師とは何の進展もなく
家庭に戻って平凡なサラリーマンを続けるという話ですから
実質的なヒロインは奥さんで間違いないと思います。
またこのあゆっちがいい奥さん感を出していましたね。
生活感のない奥さん役が多い中、
あゆっちは毎日きちんと家事をしているんだろうな
というのが伝わってきました。
ラストシーンで踊るえりたんとあゆっちを見ていたら
ちょっと感極まるものがありました。
これからも二人の平凡な毎日は続いていくのだろう、
そんな広がりを感じさせるラストでしたね。
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