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free『元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略』を読みました。
2015年に出版された本なので、すでに読まれた方も多いかもしれません。
宝塚ファンが読むと面白いと思います。
わたしも新しく知ったことがたくさんありました。

組プロデューサー

筆者の森下信雄さんは制作課長、星組プロデューサー、宝塚舞台劇場部長、
歌劇事業部事業推進課長を経て宝塚総支配人となった方です。

そもそも宝塚における組プロデューサーって何する人なの?
というところからわかっていませんでした。
この本にはプロデューサーの役割が詳しく書いてあります。
特に、退団については本人からプロデューサーに直接申し入れがあるのだとか。

初舞台生の配属を決めるのも組プロデューサーで、
ドラフト会議のよう話し合っているそうです。
1位指名した娘役さんのことについても書かれていましたよ。

ほかにも新人公演やエトワールで抜擢した生徒さんのことも
実名入りで書かれているので、宝塚ファンには楽しく読めます。

宝塚歌劇のビジネスモデル

宝塚歌劇の裏話的なところから、
タイトルどおりの経営戦略に関する話題に進んでいきます。

宝塚歌劇団は阪急阪神ホールディングスの歯車の一つなのだということが
よくわかる内容でした。

梅田芸術劇場やディナーショーで使うホテルにしても、
阪急グループの利益を上げるように公演が組まれているんですね。

全国ツアーや博多座に持っていく演目についてもあらかじめ決まっていて、
大道具を流用しやすいように小さめに作るなどしているそうです。

演出家の身分が保証されている点についても触れられています。
普通は作品が売れなければ収入がないわけですが、
宝塚の演出家はサラリーマンで、ほぼ終身雇用という特殊性があるとのこと。
作品選定についても書かれていて、
あて書きは必ずしも演出家の意図どおりにいくとは限らないそうです。

ライトなファンや初心者におすすめ

第4章では宝塚歌劇とAKB48を比較しています。
筆者は宝塚とAKBの共通点を「シロウトの神格化」と呼んでいます。
似ているところもあれば違うところもあるけれど、
目指すところは一緒なのだとか。

第5章ではこれからの宝塚の姿について提言していて
「なるほど~」と思いながら読みました。

ドロドロした裏話的なところは出てきませんが、
ちょっとしたエピソードが面白かったです。

詳しい人にはすでに知っていることが多いかもしれませんが
ライトなファンや初心者には新たな発見が多いのではないでしょうか。

お知らせ

わたしの小説家デビュー作『成瀬は天下を取りにいく』が新潮社から3/17に発売されます!
滋賀県大津市が舞台の作品で、西武大津店やミシガンが登場します。
読んでいただけるとうれしいです。